日本各地の公立高校に、都道府県境を超えて進学できるプログラム「地域みらい留学」をご存知ですか? 筆者は最近になってはじめて知り「なんて素敵な制度!」「補助金が手厚い学校も多くて想像以上に費用がお得」と驚きました。早く家を出たいという自立心旺盛な子や、遠くの高校に入って自分のことを誰も知らない環境でスクールライフに挑戦したいという人にもおすすめなんです。
そこでさっそく、プログラムの概要や、私が「いいな」と思ったポイントについてご紹介しますね。
地方の個性ある公立高校へ進学できる
「地域みらい留学」は、住んでいる都道府県の枠を越えて、自分が「行きたい」と思える公立高校に進学できる国内留学プログラムです。参画する公立高校は日本各地にあり、その数130校以上。そのほとんどが自然が豊かであったり、土地ならではの文化が受け継がれていたりと、地方の良さが感じられる立地であるようです。
公式サイトによると、2地域みらい留学生の数はスタート年である2019年以降うなぎのぼり。

運営・エヌ田
参加校も年を追うごとに増えているのだとか!
※誰でも行けるわけではなく、実際に通うには受検に合格する必要があります。
「地域みらい留学」を選ぶメリット
同プログラムには中高生の保護者としてさまざまなメリットを感じます。まとめてみると次のとおり。
- 小規模校が多く、クラスでの一人ひとりの存在感が大きい
- 生徒一人ひとりをしっかりみてもらえる傾向あり
- 都会ではできない学びが多く、成長できる
- 親元を離れて自分を律する生活ができる
- ユニークな学科やコースを用意する学校も!
- 新しい環境で心機一転チャレンジできる
助成がある学校も多く、意外と手が届く!
親元を離れて地方に留学…と聞いて、はじめは「一体いくらかかるのよ」と思ってしまいましたが、進学先は公立高校であるため学校教育費は抑えられます。また、地方なので生活費も意外とかからないうえ、学校によっては自治体からかなりの助成があるんです!
- 石川県立七尾東雲高等学校…月3万円の補助
- 島根県立飯南高等学校…毎月1万円の寮費助成(住民票を移した場合)
- 佐賀県立有田工業高校…生活支援金毎月3万円(受給条件あり)
- 佐賀県立唐津青翔高校…生活支援金毎月3万円
- 大分県立安心院高等学校…アパート等家賃支援事業/一カ月の家賃の3分の2を補助
- 熊本県立矢部高等学校…入学支援金4万円。下宿代補助毎月1万円
「今住んでいる地域の高校には進まない」と決めた場合、他地域の私立高校を選ぶと費用が嵩んでしまいます。通信制高校も、学校によりますがトータルでは結構お高いと聞きますよね。その点地域みらい留学なら、費用を抑えられる可能性が高いです。

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ただ、遠方の高校だと帰省費や保護者の式典出席のための移動費などがかかる点は留意しておきたいですね
福岡県に住んでいる場合、お隣・佐賀県の高校なら月3万円の助成があるうえ移動費もさほど大きくはないので、費用の観点からは検討しやすそうですね。
個性的な学びができる!
参画している高校の多くに、都市部の高校にはないような個性的な勉強ができるコースがあります。
- 北海道ニセコ高等学校…緑地観光課・グローバル観光コース
- 岩手県立種市高等学校…海洋開発科(潜水士が取得可能)
- 兵庫県立村岡高等学校…普通科「アウトドアスポーツ系」
- 佐賀県立有田工業高校…セラミック科
- 佐賀県立唐津青翔高校…総合学科「韓国系列(韓国文化・韓国語)」
- 大分県立国東高等学校…普通科 SPACEコース
ユニークな部活動がある学校も!
たとえば熊本県立矢部高等学校には二輪車競技部があり、自動二輪車の免許が取得可能だそうです。大型バイクでツーリングできるなんて、バイク好きの生徒にはたまらない高校生活になりそうですよね。
また、都会と違い塾が少ない環境での勉強面が心配なら、公営塾を用意する自治体もあります。
大学進学を考えているのなら…
超個人的な想像を付け加えると、地域みらい留学生としてユニークな高校生活を送った生徒は、近年増えている総合選抜型の大学入試で比較的戦いやすいのではないかと思うのです。
大学入試を経験した周囲の保護者に聞く話では、高校生でも「ガクチカ(学生時代力を入れたこと)」ってとっても重要になってくるらしいんですよね。

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暮らしがそのまま学びになる地域みらい留学生は、ガクチカのネタには困らなさそう
そこまで見据えて地域みらい留学生という道を選ぶ生徒は少数派だと思いますが、保護者目線から付け加えておきます。
興味があればオンライン説明会や合同説明会へ
地域みらい留学の合同説明会は、東京や大阪などで開催されています。参加希望の場合事前申し込みが必要なようなので、詳しくは公式サイトを確認してみてくださいね。なお、参加はオンラインでも可能です。
居住地以外の公立学校の受検にあたっては、中学校の先生にもいろいろとやりとりをしてもらう必要があるので、あらかじめ通っている中学校にも相談しておくといいでしょう。

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いろんな学校が参画しているから、サイトを眺めているだけでも楽しいです!
留学するとどんな暮らしを送ることになる?
進学後のスタイルは、地域と学校によりけりのようです。個室の寮がある学校、アパートなどで一人暮らしをするスタイル、ホームステイ(下宿)などさまざまなので、こちらも公式サイトをご確認ください。
離島だったり、里山だったり、自然がいっぱいのところが多いので、濃密な3年間を過ごすことができそうですね!

地域みらい留学、こんな人におすすめ!
- 何かに挑戦してみたい
- 興味がある分野の学びが叶う参加校がある
- やりたいことを探している
- 居住地以外の高校への進学を希望している
以上に当てはまる人は、選択肢に加えてみてはいかがでしょうか?
一方、入ってしまってから「やっぱり思ったのと違う」というミスマッチが起こらないように、オープンスクールなどで現地を見て現地の方に直接話を聞いて、本人が3年間しっかりやり通せると確信できてから受検する必要がありそうですね。
それにしても、わが家の第一子の高校選びの際にはこんなプログラムがあること自体を知らなかったので、何だかもったいなかった気がします。

運営・エヌ田
知っていて選ばないのと、そもそも知らないのとでは、えらい違いです
ラッキーなことにお子さんの受験前にこの情報をゲットできて、「ウチの子に合ってるかも!」と思えた方は、ぜひ、詳細をチェックしてみてはいかがでしょうか。
※2025年2月時点の情報です。最新の情報については、公式サイトでご確認ください。